開発にあたりエアマット、インフレータブルマット、クローズドセルをテスト。エアマットは収納性が高く、コンパクト。クローズドセルはふくらまさずにすぐ使え、トラブルのない頑丈さなどの特出した特徴がありました。一方でエアマットでは寝心地や頑丈さ、クローズドセルでは収納性を犠牲にしており、経験値の高い方であれば使いこなすことができますが、誰にでも使いやすいとは言いにくい印象でした。そこでインフレータブルマットに焦点をあて、フィールドで本当に求められるものは何かを追求。市場で流通する現行品のテストを繰り返すことで改善点を見つけることができました。
ウレタンと空気でふくらんだインフレータブルマットレスは程よいクッション性があり寝心地が非常によく、ご家庭のマットレスに最も近い快適な寝心地ではないでしょうか。また背中が地面に触れる「底つき」も起こりにくいです。ただ軽量性を追求したインフレータブルマットは内部のウレタンを多く肉抜きしており、その分クッション性が損なわれ快適な寝心地は失われています。
快適な寝心地と軽量性のバランスを考慮し、ウレタンを水平方向に肉抜きしています。これによりウレタンのクッション性が生かされ快適な寝心地を実現するだけでなく、垂直方向の穴がないことで地面からの冷気も抑えることが出来ます。水平・垂直に穴のあるマットよりもRegサイズで50g、Midサイズで30g重たくなりますが寝心地の良さと軽量性のバランスに優れた仕様を目指しました。 そして山岳エリアの限られたスペースに作られたテント場はいつもフラットであるとは限りません。登山者は快適な寝床を確保するためにできるだけ整地をしてからテントを張ることになりますが、ほんのわずかな地面の傾きが就寝時のストレスにつながることになります。寝ている間に隣の人や結露で濡れたテントの壁に近づいてしまう、何度戻ろうとしても足元のほうにずり落ちてしまう感覚があって寝付けない・・そんな経験をされた方は多いのではないでしょうか?
表裏両面の滑り止めが、傾斜がある場所でもストレスのない睡眠をサポート。マットレス裏面(地面側)には全面に滑り止め加工が施された生地を使用。また表面にも滑り止めを配置し、マットレスの上で寝袋が滑らない機能を追加しました。睡眠時に加重がかかる肩甲骨付近・お尻部分に配置し、製品重量を増やすことなく必要最低限で最大の効果を発揮するよう考慮されています。朝起きてみると下半身だけマットレスからはみ出して寝ていた、ということも解消されます。
トレイルマットレスのような内部にウレタンが入っているマットレスは、ウレタンが空気を取り込んで膨らもうとする力が働くため、バルブを開放しておくとある程度自動で膨張することがメリットになります。ただ、自動で空気を内部に取り込もうとするのでマットレスを小さく畳む際には少しコツがあり、女性やお子様には力が必要で収納が難しい、小さくするのに時間と労力が必要となります。
トレイルマットレスには逆流防止弁付きのバルブを採用しています。マットレスに空気を入れて使用したい時にはバルブを(A)のようにセットすることで、内部から空気が出てこないので、楽に膨らませることが可能です。マットレスの空気を抜いて収納したいときにはバルブを(B)のようにセットします。この状態ではマットレス内部の空気は抜けるけれど、入ることができない状態となります。このままマットレスの空気を抜き続けるととても簡単に収納サイズまで小さくすることが可能です。
行動前のはやる気持ちのなか、できるだけ早く簡単にマットレスを収納袋に入れたいものです。小さく入れるのに一苦労、このような経験はございませんか。
力の弱い方でも楽に収納できるサイズ感で、撤収時のストレスが大幅に緩和されるようになりました。また収納袋は滑りやすい素材で簡単・スイーディーに袋に入れることが出来ます。
枝や小石などの突起物による穴あき空気もれ、空気だまりのようになるハクリのトラブルは睡眠の妨げになるだけでなく、翌日の行動にも大きく影響します。
裏面には枝や小石などで穴が開かないように、強度のある30デニールの素材を使用しています。穴あきリスクの少ない表面には軽量化のために20デニールの生地素材を使用。また生地とウレタンのはがれによって起こるハクリを防ぐため、水平方向にウレタンを肉抜き。生地とウレタンを全面で接着させることで、ハクリを防ぎます。万が一の空気もれの際には付属の応急処置用のリペアパッチをご使用くださいませ。